誌面の関係上、協会機関誌「現代俳句」に掲載することができなかった「セン俳!」感想を掲載します。
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それでもなお 野口る理
今年は俳句甲子園が三年ぶりに通常開催された。新型コロナウイルス感染拡大の影響に巻き込まれた高校生たちのために企画された「セン俳!」は、それでもなお開催を待つ多くの声によって、俳句甲子園の開催に伴うスピンオフ企画として、今年も実施された。
私は今大会も予選投句作品を取り上げて語り合うトークコーナーを担当した。勝敗を決める審査員とは違う目線で、時間いっぱい投句作品を取り上げ向き合った。
虫鳴くやけふのまくらのやはらかさ 山路花
席題即吟においては、作者も読者も瞬発的なインスピレーションから発生するインパクトを求めてしまうというもの。発想や言葉の奇抜さや新鮮さに頼り惹かれる傾向があるだろう。特別賞に推した掲句は、そういったものに頼らない実直な華やかさがある。即吟のスピード感を保ちつつ、確かな言葉の連なりによって情景を作る丁寧さが印象に残った。
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