「U-40 HAIKU CHALLENGE〜2026 SUMMER〜」へたくさんのご応募をいただき、誠にありがとうございました! 今回は129名もの皆さまから熱意あふれる素晴らしい作品をお寄せいただきました。青年部一同、心より御礼申し上げます。
いよいよ選考がスタートいたします! どの作品が予選を通過するのか……私たちも今からとても楽しみです。7月中旬ごろに予選通過作品と予選通過者名の公開予定ですので、皆さまもぜひご期待ください!
さっそくではございますが、ご応募いただいた作品の一覧を公開いたします。
- 作品はすべて無記名(作者名非公開)にて掲載しております。
- 各作品に付いている整理番号は、受付順とは異なり、ランダムに割り振られたものです。
- ご自身の作品がどれであるか(整理番号など)を、SNS等で公表・特定できるような発言はお控えください。
- U-40 HAIKU CHALLENGEに応募したという報告や、作品一覧を読んだ感想などをハッシュタグ「 #俳チャレ 」で投稿していただいてもOKです!ぜひ皆さまでイベントを盛り上げてください。
- 誤字脱字含め、原則としてご応募後の作品の変更は受け付けておりません。万が一、青年部側の転記ミスや表記ミス等がございましたら、お手数ですが「応募完了メール」に記載されたご自身の作品を必ずご確認の上、青年部までメールにてご連絡ください。
- 読者のみなさまの環境に合わせて、いくつかのフォーマットをご用意いたしました。以下のリンクからそれぞれご利用いただけます:
- Google Document(ブラウザで今すぐ読めます。縦書きは非対応です。)
- PDF(レイアウトをそのままダウンロード)
- EPUB(電子書籍アプリで読む)
一月の段丘だから木にあつまる
蝌蚪うすく光つてねむらない汀
鳥のこゑしても正方形ぢやない
あいこつづく今を乱反射する汗
雨季そののち手なづけられて換気扇
すり抜けて蜥蜴の尾から青くなる
祭でて影も失くしたやうな黙
梨たとへやうなく同じ雨がふる
うつくしく海鼠ヘクタールにそだつ
おはやう午後。しぐれても仕方なかつ
桜蘂降る古本を綴じ直す
どこからが名前だったか飛花落花
重力の熱さをまだ知らぬ裸足
終わりない旅の例えば夜釣など
地球上最後の本屋蝉時雨
お申し出無かったほうにキリギリス
秋天や刃紋脈打つ先に錆
ガラポンの二等鯨になる権利
テディベアを縫う寒雷が眠るまで
たまごずり落ちるロコモコやがて春
時鳥と待つ朝五時の採血を
身体から髪の毛離れ花は葉に
シャワー室へ向かい塩素のむわんとす
炎天や西日本豪雨から八年
だらだらとLINE親指汗ばめる
コインランドリーぐるぐる街は原爆忌
点滴のすぅと冷たく秋気満つ
流星やおもちゃのような紙幣の「1000]
長き夜の錠剤また大きくなった
銀漢のなか赤ちゃんと見つめ合う
春の空だしカンニングブレスしな
五線譜のねじれて春の海となる
夕焼空証拠に手とか握ろっか
夏の海めくればシルル紀の明度
京アニの作画の秋の空だ今日
戦犯の野手と来ている秋の海
凍空を鎖せばあなただけは無事
ジャン負けで買うブラックや冬の海
初空へ羽ばたきそうなツインテだ
初旅の紆余曲折の果ての海
囀りや走ればべしょと転びし子
走り梅雨疲弊している土踏まず
蚊を除けて殺すスプレー缶小さし
二歳児のくれる愛とか夏の風邪
梅雨の夜のバスボム平和への譲歩
王道を来たと謂いたる海月かな
眠草また遊ぼうと言ったきり
茄子漬の色まず褒めている電話
合歓の花揺れて虚弱へ戻りゆく
七夕や夫好みにすアイメイク
簡単にほどける紐をさくらさくら
残像は小遣いを持つ初夏のぼく
夏帽子忘れるそんな昼が続く
思い出に蜻蛉を見つけそれっきり
九月を声ぼくが川までとても早い
その後に露と檻を遺すベンガルトラ
どこまでが昨日のきみの霜柱
回る車輪ペダルを漕げば悴んで
雪解けているいまずっと見ててほしい
きっと齢をとって静かな花野まで
大空をとめはねはらふ土筆かな
チューリップくびれて胸のはだけをる
視線みな吸い取る口や百合の花
向日葵や眼一点射抜く嘘
人の世を生きて這ひをり曼珠沙華
コスモスや老犬の鼻ふやと濡れ
アインシュタインのごと餅の歯朶垂るる
年老ひるごとにしみ入る若菜かな
水仙の香を細胞に詰めにけり
花束を食らふ勢ひカリフラワー
職もない二月じんわり生きてゐる
犬走り人も走つて春になる
春北斗就労支援施設の夜
障害が障がいとなり鳴く蛙
つらくても笑つてゐてね桃の花
うつ病の薬が飲めず麦の秋
万緑に響きて我の命かな
休学の日々の夜明けや合歓の花
いつかまた自分を生きる半夏草
郵便受に詰まる広告梅雨に入る
くちづけのあちらこちらに白牡丹
五月雨の耳にひびきて爪を噛む
「ばか」と書きし指に愛でられアイリス
昼寝した遺跡のありし右頬や
あけ放つ窓より梅雨にさそはれる
こくこくと瓶傾ける涼しさよ
喝采のごとき雨音初嵐
蛇巻きて眠るごとくに悪夢見る
無花果の朽ちてゐる籠の隅の闇
コンサート遠きラヂオに夜長せむ
輪郭をもて余しては春眠し
春の野を同姓ばつかりで難儀
火あそびが好きで焼畑は嫌ひ
与へられ呼ばれ名前よ花は葉に
汗の背を遠きゴールドラッシュかな
稲妻の心地きまぐれに裸
線に色に陰りに秋果熟れつづく
襟巻に急所隠れてゐたりけり
咳くたびに謝るひとやクランチチョコレート
さつきぢやなく今がこの焚火の盛り
ひらべったく撫でた後にも柿の実の
寝息たつ指からLEGOを俺は夜
これくらいの箱に0.03と
近似値で処理してくれる百姓に
股ぐらに理性が宿る世紀末
サプリーム 意味は知らないけど酸っぱい
俺は獣になって拐った
境内で揺れる三つの黒乳首
人よりも鹿が物語る真実
大人しか GO SHOOT って言ってない
商標の老人が見る秋祭
胸騒ぎの奥に枯野のそよぎゐる
煌ける何が壊れて流れ星
灯籠の流し始めの降ろしかた
片足の無ききりぎりす 右へゆく
後ずさる頭で触るる椿の実
蛍らの反実仮想のごとく揺る
鏡花忌やねじれの位置の二つ星
小指から伝播してゆく野分かな
喝采は常に断乎とする芒
謀翅で聴きたる夏の蝶
ぞくぞくと悟りを開くハンモック
サイダーや河馬桃色の汗をかき
観瀑台去る頃合いは各各に
落ちてきしかはせみのちに酒となる
卯の花腐しカニカマの裂かれっぷり
ががんぼの踊りI♡NY
金魚の水満ちて袋の尖る尖る
マゼンタもシアンも足らぬ夏の宵
山脈の果ては岬や夏帽子
ユーミンのかかるカレー屋扇風機
このトマト明るい顔で黴びてゐる
鬱病と言はれし日より秋の蝶
蜻蛉や一匹二匹出社拒否
秋高し何もしないをするベンチ
通帳のゼロひとつ減り冬はじめ
まだ生きてゐるかもしれぬ落葉踏む
着膨れの腕はひよこの可動域
振り出しに戻つてきたり春の地図
目標は辿り着くこと初出社
日永たとえばレモンカードを濾す網目
豆苗や寝癖のままに消えた猫
転職のための半休桜まじ
清明や琥珀のひなに風切羽
へリオトロープ匿名で生きてみたい
労働は遊戯穀雨のサグカレー
夢より安定 背泳ぎの目を閉じる
いつか灰に埋まるふるさと草笛吹く
性記す履歴書夏の蝶にがす
人生は不可逆ルバーブ煮崩して深紅
白梅や校舎の壁を雨黒く
卒業の謙遜し合ふ母と母
たんぽぽの絮蹴り飛ばし蹴り飛ばし
葉桜の空やバーガー屋のテラス
盛岡の五月の風を抱きしめる
東京に来て二年目の髪洗ふ
犬の毛を乾かす秋の扇風機
過去形の恋と現在形の桃
同棲はじまる鈴虫籠に風入れて
ポケットにスマホの重さ火の恋し
フラスコの虹に冷たい手の論理
私語と咳たどりあなたの弔ひへ
枯園の友の喋れば鳥の律
クローンのぼく眠りぼくよりも蝶
留年の欠伸の潰す移民船
蛇揺すり起す終りの陽だ、ごらん
雪の夏行き交ふひとの頭上に環
カーテンはいうれい被る君もさう
然る秋の部屋に遺影の自分たち
みんなの忌鱗雲ならまた会へる
水中花産まぬわたしの未来まで
香水や姉妹のどちらにも似ずに
原爆忌エレベーターの鏡拭く
日傘閉づこの世に余る骨の数
天牛の翅より古き父の工場
冷房の奥に遺影の海青し
蟻地獄わたしを褒める声で呼ぶ
梅雨晴間ロボット犬の腹あたたか
戦争画わが骨いまも夏にあり
炎昼や名字の違ふ墓を継ぐ
沈丁花ヒジャブの人とすれ違う
水シャワー浴ぶ異国語の蘇る
なまぬるいジョグジャカルタの瓶ビール
八月やホストマザーの菓子焼く香
レバランの夕べ楕円の西瓜切る
あのジャワ語繰る幽霊と目が合った
五回目のアザンの調べ雨の月
いつの間に雪の匂いの母国にいる
冬ぬくし上手くならないラテアート
花の夜やコピ・ルアックの挽き心地
春昼や濡れない場所で待つ信号
沿道の紅梅を光がたたく
桜ラテ次の休みに会う約束
やどかりや音楽がお家のかわり
カフェインでゆっくり冴える青い蝶
手帳の書き損じも春のせいにする
花ミモザ王に歯向かうように揺れ
雨後の路地草餅っぽいにおいする
ぎゅうぎゅうにシャボン玉吹く薄闇に
きっと書くよ手紙二月の夢抜けて
人に貼る絆創膏や冬菫
鮟鱇が煙草を吸いたがっている
雪というバベルの塔の砂塵かな
水の密度光の密度冬の滝
どうせ白息このまま歌おうか
すこやかに聖樹がほどかれてしまう
冬の虹消えて花瓶を持たぬ家
去年今年靴下にある行き止まり
雪原の痛点踏んだかもしれぬ
悴むや掻くように欠くように詩は
蟷螂も放火魔もいる大都会
眠っている山ならこの距離で好き
折れた歯を握って羽抜鶏を見る
目の玉をリボンで巻いたら春休み
控え目な蟹と一緒に暮らしたい
梅雨前線メイドインおれの金玉
亀が鳴き世界の終わるだけの午後
ハンマーで骨を砕けば夏が来る
夏祭りでもらえる半透明の兄
蟻たちと友達探しに月へ行く
炒飯に椀被されてゐて暑し
豆豉よりふはりと虹の産まれけり
食道をとほる雲呑涼新た
赤々とさやか杏仁豆腐の目
霜の夜の君の餃子の包み方
心臓のやうに辣油を垂らしをり
春巻きを斜めに切れば風光る
横たはる角煮のやうな孕猫
冷房や麻婆の香を放ちたる
タレ涼し棒棒鶏を貫けり
洗脳はしずか喇叭を気忙しく
ネオンテトラが足りない忌日の塔
水たまりにもサイコロが膿んでいた
夏野の積み木(あくまでも目安です)。
聖廟を揺れて正しくかみねんど
ペンライトふわっ禁呪と共に割れ
扱いが穢れてシルクハットに歯
アヴェ・マリアが流氷だったころは
牢屋 妊娠線に沿えば 咲く
空瓶が絡んだ八時十五分
肩車ごと下闇に突つ込みぬ
失恋の苺ミルクを匙が堀る
怪談に蘊蓄混じり苔の花
ガチャガチャの中身のやうなさくらんぼ
夜店暫く謝謝が聞き取れず
Wi-Fiを使へと言ひにいく帰省
一枚の葉に一本の飛蝗来る
秋思経て代車の色を忘れけり
落花生振つてトイレの人を待つ
砂肝に俎板小さし秋の暮
さん付けの距離を保ちぬ熱帯魚
猫背とは眠気のかたちアイスティー
暖房や空オケのループ再生
凩のまち口狭き洗濯機
感情のぐるんぐるんと柚子湯かな
霜焼や未明のテレビショッピング
泣くときの体に熱や春の月
羊羹を切る卒業をくりかえす
春深し研究室のまわる椅子
復縁の兆し深夜のヒヤシンス
机の上の蛙机の中の蛙
紫陽花や腕時計に重なる産毛
笹起きるテーブルに広辞苑を積む
蘇る記憶は蝉を折ったこと
干柿を作れる金持ちの子供
蛙のみ泳いでいるやうな葬式
木守柿川に炭酸水垂らす
夕焼けや脚だけ鷹に変えた僕
蝿生る言葉はできないことばかり
何回も井守の友達をつくる
内見のたびに紫陽花濃くなりぬ
虫刺され薬をくれしレースの手
横向いてエンゼルフィッシュだと分かる
笑ふたびお冷やが揺れて海の家
日にいくつ餃子を包み扇風機
サンドレス波の隙間を波が埋め
貝の柄のペーパーナイフ夕端居
集まれる息に螢火消えにけり
盛りつけて皿の深さの良き涼夜
湯のぬるむやうに眠れり祭の子
スケボーのやがてはじまる春ともし
朧夜の思考に尾崎世界観
メーデーのモーヴロードで待ち合わせ
肉バルの床一面の落花生
駘蕩や長いキッスのあとのゲロ
真っ暗な街の八十八夜かな
鼓草松下電気器具跡地
螺子工場 朝礼 明易の二日酔い
田楽を天然水で流し込む
野田の藤ぼんやり過ぎる二十代
瘡蓋の手首パセリの水を切る
夏痩や磨汁ぬるく絡む夜
肉片をくらふて蟻の腹ぎらり
鶏頭や火傷の舌につく切手
ストリートビューに祖父ゐる秋彼岸
大地凍つストラヴィンスキーはいま
ハムスターの噛み跡撫でて冬の月
春光を躰に秘めて安楽死
授乳して引掻傷のある遅日
啓蟄やブルーチーズは息微か
渋谷駅人を待つ人ばかり春
チャッピーに敬語ゼリーを切って食べる
風水のために置かれている目高
死ぬときは気持ち悪いの蝉も多分
碇星校歌歌わない同盟
火事を見るタピオカミルクティーを手に
賀状書く君の名前エロくて嫌い
印象派展帰りにおでん食べて寝る
卒業のつに寝癖五分遅刻します
山笑う脳のおもちゃとしてあたし
寒煙や一本の舌で死を待てり
踏み台の男へ冬の扇風機
春苑を迷う2つのアラベスク
手を振りて花盗人が橋の上
短夜の譜面に吾の溺れをり
独白のホームビデオの夜を蛍
安吾忌の吠えたる犬に吠え返す
満月に頭がのめり込む不快
肺中の戸を天地始めて粛す
生きのびよ鰡跳ねし暴力の星
蝶飛んで蝶弔つてゐたりけり
風船を翳して母を消してしまふ
笹舟に童のこゑといふ浮力
あどけなく流るる春の川まぶしい
目を見れば花のぼやけてゐて恋だ
風に袖なびかせ春を惜しみけり
葉は舟で石は港や泉湧く
肌よりも真白き造花へと素足
果実酒のための瓶干す熱帯夜
夏つばめ駅員を呼ぶハンドベル
間違えるたびに春めくパスワード
春雨の折り重なってゆく未明
ぬた以上ひじき未満の関係性
思い切り振る貝寄風のホームラン
花の冷えボビン正しくはめ直す
すっぱくてちいさな苺だけ食べる
混沌も秩序も連れてゆくみなみ
嘘吐きなカーネーションに口づけて
空を欠く夏野にはまだ戻れない
終末のミルクセーキを待っている
納豆をかき混ぜ春の色になる
霞草ノートに頁という窓
風の怪演に負けじと夕桜
釣堀の雨の第一水曜日
炎天の仰々しさに閉口す
溺愛を愛にとらえて墓参
哀しみをかくす哀しみ踊かな
秋の暮深刻そうな大人です
逃げ足が当てずっぽうな綿虫よ
ただ寒いだけで変った情いくつ
狂はずにゐれば泉の深い水
夏痩せのなにを欺く塗り薬
死者を恋ひやまずくらげの浮き沈み
黙りゐて霧の奥よりピザ届く
師よ秋の海が匿ふあらゆる死
金貨隠すならば鶏頭燃ゆるなか
名があつて無名の死者へ蔦走る
鶴よしづかに己が光に傷む油画
しばれる眼川を捉へてをれば鳥
冬晴にケトルすぐ沸く若く死ぬ
春まけて吠えだしさうな腹の虫
五線譜に乗つてゐなけりや田螺です
風船の一縷握られたげに逃げ
肺炎の胸のひかりや白躑躅
南部鉄風鈴を背にブラトップ
片蔭に叱責されてゐないひと
そばかすのぢりりと痒む花火かな
恒星にしては栗南瓜は律儀
パンドラの箱ポインセチアもぽつねんと
涙つて粒の音する蒲団かな
夏は夜蚊は血液を引用し
足音で跣のかれとわかりけり
噴水の向うでケバブ売つてをり
翡翠が光に嘴をさすところ
百日紅団地の夕の長からむ
いうれいか心太かを突きにけり
真相の覆はれてゆく蝉時雨
ガラス戸の厚みの中の西日かな
冷やし西瓜や弟が欲しかつた
パリへ行く予定の立てば夏蝶来
阿鼻・閉口・眉唾・裏目、福笑
山茱萸の花一輪がログアウト
アーケードの骨組み露わ月おぼろ
涅槃の日ガチャのカプセルまろび出る
保留音二巡目に入る花樒
問診票に〼花見酒をつぐ
清明や神隠しめく検尿窓
口に口うぽつうぽつと燕の子
枇杷たわわ画集積まれて資源ゴミ
スクロールするその先に誘蛾灯
眼でねむるぼくらいぬふぐりの仲間
春服をしまひ遠近法の部屋
空き家バンクにうつる桜を見にゆかう
新宿が好きで地蜂の影をふむ
緊張の無言やソーダ水の底
美大との距離遥かなり捕虫網
戦勝国にふつても五月雨といふのか
壁に黴げんじつの夢らしくあり
うかんむりの成りたちを知る蛍かな
蚊帳を買ひ鍋は買はない選択肢
譜面台に座右の銘を書き立夏
日盛の指揮棒譜面台叩く叩く
夏暁やリレーのやうに楽器詰む
大会は負けて祭に帰り着く
次期部長所信表明涼新た
星月夜をもつと映さんチューバ拭く
クリスマス譜面隠しにリボンの絵
初稽古メトロノームを遅くして
演奏の休符の長くてあたたかし
花びらや楽器紹介小ネタ帳
つちふるや敗戦処理の硬き指
菠薐草枯れゆくごとくソテーする
腰痛を教へんと切る蛍烏賊
パン生地の膨れかかつて春惜しむ
留学すれど訛り残れる五月かな
初夏 目のなき青き鶏の飴細工
雲駆ける田にぼつぼつと蛇苺
石像の足跡のごと苔茂る
時鳥フードの視野が俺の世界
ノイシュヴァンシュタイン流星より白し
四季⇔劇薬 新入生にはまだ あげない。
仏滅のぶらんこ/昼も夜もカレー
逝く春の読まない文字ばっかり→check!
初夏の班長:半炒飯注文
“メーデー”だね、ひらがなはやめておこう
武具飾る—郵便番号欄5桁
〈脚はぜんぶ胸から〉梅雨入りの頭痛
かしこく生きよう [蛍] 先輩だらけ、 の 、 [蛍] 世界
部室暑い!鏡どこに置いても邪魔で便利
蛇いるじゃん?一旦全部間違い?ってことで
永遠はこころを殺す花衣
清く正しく絶滅の薔薇の列
ほたるのひかり硝子の脚は砕かれて
素敵な王子様は風とともに死ぬ
定型のいずれは美しいプール
星は遠くどの指を折る熱帯夜
この言葉は何も為せないクレバス
汗まみれの両手に手紙だった砂
遠雷みんな死ぬけど全部覚えてる
物語は生まれなかった雪兎
キャベツきゆるきゆるおほげさに分けて
勢ひに五月は好きと言つたけれど
告ぐるまでの遠雷を指の血管のすべて
ずるい滴りの見つけかたおしへてあげる
短夜の恋ほんたうの嘘をつき
きみは雨乞どこにゐたつてすぐわかる
香水を買はれさういふ会ひたがり
うすつぺらいからだで冷奴をくづす
ゼリーくつつくいつのことでも話しながら
目をこすり手花火はすべてのこれから
子猫鳴く父の葬儀は行かぬまま
指サックつけてこすりぬ夜業の目
点と点つながる夜学ビッグバン
春眠の唇にある記憶かな
来ぬ人を噴水巡るいくたびも
肺重くなるまでをりぬ薔薇の園
澄みわたる眼の哀しみや犬ふぐり
良き憂きもはや大差なし水温む
生きるとは手放す軌跡彼岸西風
はるかよりここと答へり濃山吹
きみという世界の出口春巡る
友だちが多くていいね花ミモザ
春の泥踏む花びらが透けている
よくしゃべる人も桜も好きよ嘘
ぶらんこを漕ぐ私から逃げている
数が出てこない数学花の窓
花筏に乗れる大人になったから
ここにいようよ風船いつも落ちていく
爪を切る私が軽くなる春宵
だってきょうすることないよ春の果
雛飾る化粧の顔に触れられず
包装の写真に選ぶ種袋
メガホンに声のくぐもる春祭
腹裂けて小骨の見ゆる目刺かな
本殿に混み合ふ色や木の芽風
地獄絵は赤鬼ばかり山笑ふ
給油所のタッチパネルも花曇り
花冷の舌に張りつく切手かな
句碑となる令和の一句風光る
巣構の鳥の出てゆく雨の中
襟章に正しき角度風光る
新刊の高く積まれし青葉かな
梅雨寒し臍帯めきて充電器
炎昼のあつといふ間の更地かな
一年目職員による盆踊
小鳥来る教授にソクラテスの髭
古着屋に古着の店主秋湿り
金にならぬ学問選りぬ海鼠噛む
たかいたかい寒天に子を捧ぐごと
星自身星燃やしけり冬木立
未来図の金泥跳ねて鼓草
鳥雲に入る飛蚊症モンタージュ
傘立ての底の底無し蛇苺
吊革の白き車窓や夏季講座
花野の出入口に立つてゐるダダ
月光や訳詩に蘭語万葉語
空き缶は捻挫くらゐに夕化粧
見ることの婚姻たりしみぞれかな
去年今年ねじの太さの測り方
息白し軸足変へて読む二章
幽霊に尋ねし井戸の住み心地
蛇巻いて笑う写真の母ハタチ
女子寮にごきぶりそれぞれの武器を
UFO呼ぶ会入らされ青田風
ナイターとナンパを眺めてる飲み屋
花の名の偽名のたまう墓参り
満月来る終電のAirDropで
江戸走りしてないで栗拾いなさい
カート押し夫婦喧嘩を分け入り葱
異国の子遊べり雪の投票所
走馬灯かえつてよかつたぢやないの
地球儀をまはす速力日焼の子
原爆忌電話のベルのけたたまし
べきだとかべきでないとか鰯雲
数式のどこかがちがふちちろ虫
大花野XLは帆のやうに
あたまだけはずし加はる踊かな
かけがへのある菊展を帰りけり
消防車大きく吸つて鳴りにけり
わが影に濃淡のあり冬泉
知っている言葉でこれが戦争か
春の土水は光ってから染みる
ぱかぱかと風船吹かれては戻る
春光がどこにもたどりつかない/つく
産毛っぽいの春の長袖から覗く
滴りの中を日が滴つてゐる
息をして暑しひかりの光る海
青田青田青田共同墓地青田
正午って昼寝の顔をすることだ
朝焼が(雨後の鴉が)くらかつた
ペリカンに浸み出してゐる春の果
白日傘いくらかパレードを離れ
海の日やチキンライスに小さき旗
革命とそれからアイスコーヒーを
冷房や体のなかに島があり
電話切れてしばらく昼の海を見る
籐椅子に打ち解けてゆく体かな
洗はれた葡萄のやうな夢を見た
電灯はすずらんに似て明易し
つゆくさや海の近くのコンビニへ
わかめ切るうち眼鏡が落ちてくるさみしい
あだ名なんてないまま花が藻をあふれ
そうすべては網戸の外れたがり なんてね
ところでと言って昼寝の人を見る
団栗ずんぐりいまさら泣ける気がしてさ
きみと行きちがう新宿。十月にふたつの名
あらゆる秋思がカラオケに透きとおる
"the gray wolf is looking at me
一号車で待ってて"
鮫噛みちぎるラスト・ティーンにさよなら
つちふるや人の指紋の三種類
午後からは彼岸桜が降るらしと
夕虹の去りて詠嘆するテクノ
梅雨に入る電車は人を吐きて吸ひ
フイルムに流蛍意味のなき言葉
赤蜻蛉さうは言へども明晰夢
ふるまひを試みるたび星流る
へのへのと案山子は顔を変へずをり
鉄塔は風を伝へて冬銀河
かまくらを出で融解を見届けぬ
河鹿ほどきらめくものに生まれた
春愁や皆キュビズムの輪郭に
欺けば夏蝶に口づけをされ
舟の音ざらりと迫る五月闇
飛魚の身にさへ余白許されず
梅雨晴間フォルティッシモの息を吸ふ
滴りに冥府の河の甘さかな
天球を抱えるやどの紫陽花も
赤外線通信ぼうふらちまちま
薄暗き血の名残り向日葵の国
うららけし髪括る子の背中あり
プーさんの言葉を信じて煮る麦茶
夏の夕はじめての店の明るさ
期日前投票終えて夜の秋
鳥曇 客人用スリッパの浮力
青錆びの表札西日を受け入れる
永き日よ縫い終わらずとも良しとする
親指と逸れた薄月ここにあり
冴ゆる影百円均一棚の古書
満空灯凍ってちいさな星となる
春遅し好きなあの子に好きなヤツ
五月闇うちら友達やもんねと
僕じゃない誰かのための浴衣でも
貸した本どんな姿勢で秋の夜
冬の宵呼び捨てしあう影二つ
初詣あの子が巫女で足早で
寂しいとどのツラ下げてバレンタイン
卒業や君は私立のブレザーに
告白の返事に詰まる遠花火
振袖の君にさらっと綺麗だね
産まれては死ぬまでの日を寒椿
狂へないまま白鳥を目に映す
子を抱いて二月の川の怖きこと
春の星よりこぼれし水と思ふ
かぎろひに産まざる吾を見しやうな
猥談にをんな加わり薄暑かな
万緑や戌の日の鈴なべて鳴り
わつしよいの右折してゆく秋の空
さつきまで鶏頭だつたものを抱く
寒禽や水より暮るる寺の庭
プリキュアは善くブランコの番を待つ
父は祖父に 木へブランコを結びつけ
ブランコに上げられて今星座になる
焦土に雪かつてブランコだったもの
ブランコを舐め続け一時間経つ
ブランコはどうして群れを作らない?
家まで伸びてきたブランコに殺された
学者ほど藻とブランコを間違える
ブランコを仕上げにかけてオムライス
ブランコが顔文字でないわけがない
春の朝レトルト味ポップコーン
ゴールデンウィークシネマ深夜ルーモスの香
地球儀をまわせば日の出夏来る
初アポの顔の影に日傘の影
鬼電もぱくぱくマンボウまた来て
逃げ水や仮交際七、八人
君の彼女の寝言は「暑い」のみになれ
蔦の端探し私まだ人間
白鯨もインスタ模様悪夢果つ
初恋の結末冬薔薇枯れよ
天井に空柄の紙春の風邪
カーテンの一瞬外へ出る日永
叩かれぬドラムのパーツ春休み
抱き合つて顔すれ違ふ春の夢
五月闇ピアノに何処もゆけぬ脚
冷房に時報一斉なる傍聴
まちなかの受話器は捕えられて夏
にせもののひかりのもとでゼリー喰ふ
噴水をはぐれしみづのすぐ消える
薔薇園の薔薇は互いに背を向けて
つねに死のまぶしさをもて燕くる
ごめんなさいは流氷に似たことば
ばらばらに汽車くみあがる櫻かな
春暮の鳥となんにでもなれる木と
跣ゆゑ水面は本のやうなもの
めたのぼくがぼくをぢやましてくるえんちゆう
フロイトは残暑の魚を見てゐしか
ああ此処で踊れば二科展になれる
栗焼いてときどき顔を褒めたりする
火が恋し脳てふ虚の雲持たば
春愁に水をやらないで下さい
春の夜や偽の金貨の探しかた
重力の矢印黒し朧月
六月の俯角となりし煙草かな
虹さえも見せびらかすか東京は
宿念のうち滲むかに紅黄草
秋雨やカフェのガラナに淡き濃き
桃はみな他の桃はみな苦いと言う
ふくろうふくろうかんがえないとうらぎるよ
一月の栞を貰いそびれけり
蝋梅の思い出に無駄毛が生える
借り物の本に消し跡日向ぼこ
木曜のプラスチックは鴉の巣
春愁い欠けるまで米研ぎすすぎ
母の日は味噌汁の味が濃くなる
夏近しパンツを捨てる前に洗う
梅雨入りて実家にもこの本がある
朝顔の家は取り壊されたって
忘れてた底冷えの皿かき混ぜる
外套の奥のレシートまた仕舞い
つかのまや春の便器に春の便
遠花火それからはやや近くなり
庭といふ庭に植ゑたきラムネ瓶
音ゲーにきみといふ台風直撃
蟷螂はどう見ても電動だらう
早朝の想像にマフラーを巻く
羽子板をデコるぼくらの前屈み
水仙はひよこめくかな口あけて
風船と顔の高さを合はせけり
花冷えのだし巻き玉子だつつふの
親展の赤く四角くはうれんさう
お通しの花冷らしき盛られ方
明易のタオルが重力に従ふ
遺伝子といふ父の日の祝ひ方
天牛や値引の横を作りたて
子会社に勤めてゐれば蚯蚓鳴く
窓枠に洗剤のある林檎かな
夜の処方箋としてある枯木立
耳やこの聖樹を立てる労働者
雪あたらしバス停昏く立つてゐる
春って半分ことばでできていたんだ
朧夜にただしい道を当ててあげる
躑躅咲く神保町のいいところ
すれ違うつばめと犬とベビーカー
バナナスムージーやたらと本が似合う
汗と言葉どっちが先に出たんだろう?
夕焼や言葉にも生き死にのある
コートから言葉あふれるように愛
東京ってば冬の山見えなくて不安
書かねばならぬ要らなくなった街の冬で
はれーしょん!あなたが藤になる途中
あまやかし/まやかし もものはなのせい
ひかるはとおくアイスクリーム語のじゅもん
てんしどくはくきらめきはつみなのに
まなうらに星のにおいの休暇明
ひかることは単純でつまり、芒
手帳からうさぎが生まれなおすかも
puzzleばらばらのあなたを戻す雪
せかいかん似せる似てくる花疲れ
藤たちまちおもたくて逃げられない
水番の裏切りかたを教へけり
偏れる海水帽の名前かな
稲妻にきらはれてゐるのつぽかな
種採のとるべき種の聞けずをり
あるほどのとろろをかけて食ひにけり
雪吊の志なくつられをり
話すことなくさかしまに独楽まはす
なまはげに噛まれてゐたる真顔かな
風船でやんすと視野に入れてくる
春風に絡まれてゐるも取りあはず
蟷螂の生れしばらく抱きあへる
ががんぼの絡まりさうに飛んでをり
凌霄や工場の灯のごんと点く
象帰る檻に背高泡立草
まちがひの満ち満ちてゐる柘榴かな
長き夜の電子レンジを覗きこむ
名をつけるやうに流燈そつと押す
雨をとこ晴れをとこゐる芋煮かな
掃きゆけば釘も出てきて虎落笛
我少し古くなりたる嚔かな
蝶が蛾がそつなく育つ映画村
天体は臓器もたざる朧かな
木の梯子鉄の梯子をゆく涅槃
ありとある兄を浴衣へ裏がへす
恥づかしき昼の蛍となりにけり
いちまいの不眠を大切に泳ぐ
相撲から相撲へ流されてねむる
罅割れた画面を台風がのろい
剥けば桃夜を湯水のやうに使ひ
死後は永いひとりずまふやはつけよい
ペガサスの背に跨つて初旭
飴細工でも可怪しくはない時雨
寒潮や想像妊娠やもしれぬ
逆鱗を削ぎ落とすごと霙かな
人間のサルな割合百日紅
ツチノコを踏みつけたごと蚯蚓鳴く
幽霊になれども友人誘蛾灯
聖剣を溶かしてしまふ油照
満月よ人は愚かになつたのか
御守を開封したり春疾風
春の夜空はよっぱらいの目に似た
梅洗う五体ますますきみがいる
扇閉づ血筋にゑらばれたぼくは
火蛾にせもののガアデンを繕へる
雪かはす奴隷船までのひたひ
背骨冱つあさひ玉座に向きてゐた
来ぬ人へ夏走らす老いのとほく
雪っこに会える子の手とか足とか
源氏名にこびりついた残雪
蛍毀ちてひとりではなくなったの
三パック千円とあり蕗の薹
タリーズと同じ明るさ桜満つ
亜細亜の愚痴言ひ馬蛤貝を掘り当つる
ネクタイは少し長めに花は葉に
青羊歯やどうせ義経死ぬ話
どれも黒くぱんぱん夜店のごみ袋
虫籠ごと値段付けられ虫売らる
躁の日も鬱の日も来る小鳥かな
付箋だらけの引き継ぎ資料冬銀河
聖菓出づマトリョーシカの最後より
棺のなかれんげ畑を拒みけり
蛭よ血みどろにとけだす変声期
きみは畢竟みごろしのみづからの袋蜘蛛
少年のけのびの抉る清水かな
口づけは育ち切るまへ虹の脚
水色が父の日に孕まれそこねる
避暑地ごと盗みませうと酔ふ唇で
積乱雲は合はせ鏡に割れてゐる
舌は水鉄砲になる と呻る
生姜すりおろしきつてぼくとはとはの忌なの
さえずりの合唱ホットケーキの香
九匹の子猫の戯れる純喫茶
切り株の椅子甘々のアイスティー
珈琲はおつけしますか青葉木菟
きのうまでなつぐもだったわたがしです
くるくるとペペロンチーノ小鳥来る
たっぷりとチョコをりんごのカレーへと
ひげもじゃのきこりのさつまいもケーキ
秋うららブイヤベースに浸すパン
枯山のツリーハウスにシチューの香
どうしてもいえないはるのきず みてよ
割引で買える菱餅残ってますか
やんなっちゃうみんな桜のことばっか
14番線5号車3番ドアの新社員
春の蚊やレトルトパウチ絞りだす
カチューシャが耳の後ろでちょっと四月
菜の花のつぎはわたしが蝶になる
風薫る下巻がすこしだけ厚い
どの列に並んでも夏来ちゃうから
はざくらのあした、あさって、しあさって
スラングとピンクは禁句キャンピング
ハイカラな朝花柄のアロハシャツ
こそ泥の心の友よ茗荷の子
秋よ来い箒の穂先折り取りて
枝豆や似非方言に得手不得手
猪二匹率い活き活き生き字引
柚子湯する普通の夫婦うふふふふ
飄々とつばくろの巣を作ろうよ
新人は素知らぬ素振りして春夜
kindleとミント植えるのしんどいの
シクラメンきょうは玉虫色の頭痛
期限切れ味玉無料券朧
百日紅再起動まだおわらない
ベリー&ベリー味のしそうな大花火
夕焼がビルに映れば君はいない
八月の椅子がコードを踏んでいる
玉葱のゆわゆわ煮えて腰が痛い
立冬を下駄で疾走する男
札束を見飽きる映画冬木立
PayPayで熊手のミニを四つ買う
椎若葉眉ゆたかなる龍の像
緩やかに交はる古墳今朝の夏
絨毯を裸足片足づつ撫づる
木から木へ機織るやうに雀かな
太陽に朝より向かふ蜘蛛の腹
髪洗ふ鏡に泡の飛沫かな
街灯に窓の輪郭露涼し
行田タワー潜める蓮の蕾あり
明王の横を流るる岩清水
打水を銀の柵まで迎へたり
春やアパホテル遠くにゐても見え
焦げてくるポワソン・ダブリルの背鰭
喘息のけはひありたる桃の花
雲雀野の隅に如雨露や横倒し
見開けば声は菜の花までとどく
函数や魚のかほが夏のそれ
説教のゆつくり分かる茂かな
目が赤い六月の藻の揺れやまず
ゆふぐれあめんぼ足らぬ亜鉛を菓子にて摂り
我といふ幼虫ところてん啜る
ハルシネーション これは存在しない春
Ave Maria 孕み女にそれなりの生
シンギュラリティ 神に近づいていく夏
アスファルト剝がそう地球今こそ衣替え
避暑の帰省機械の犬のいまむかし
バクが夢を食う ゴミ箱を空にする(B)
星月夜機械の国の夜と夜
冬日眩しい自分で回るほどの光
あまりにも簡単に言ふ「わからない」
A (nata n) Iに見つけてもらふために書く
草いきれ濃し禁域に踏み入れば
蜘蛛のいと顔前にして見失ふ
あの島は鰐のよこがほ明易し
葉脈の太きが落し文の封
毛虫いま舗道を渡り切るところ
轢死してまたすぐ轢かれ雲の峰
蝸牛みるみる貌がよみがへる
幽霊の乳歯とこしゑにぐらぐら
祖父酔ハセハンザキ食ヒヲ語ラセム
百物語蠟燭息を吹き返し
花菜風僕にも言葉にも影が
さくらさくらさみしさがささくれてゐる
夏星のひかりを閉ぢ込めて琥珀
七月や掌を静脈の太く透け
たたかはぬためのたたかひ心太
秋涼し鉄琴の手のかぐはしき
待合の椅子のむらさき秋の雨
後悔の厚さに着膨れて生きる
冬蝶のらふそく色のこゝろかな
残花飛花落花すべてが僕でした
戸を開けて始発待つバス青葉風
ハンカチや天使を睫毛白く縫う
封筒に一塗りの糊扇風機
玉葱のことこと臍の固さかな
汗だくやケバブのように回る地球
鎌拭いて次の筍あるところ
いつまでも湯呑に麦茶ある気配
黴びかけの物差しぐっと線を引く
夏芝に乳房置きたる牛の夜
お湯三分金魚の鱗膿んでいて
みじか夜の夢にみじかいものがたり
珈琲をもらふ裸足のあなたから
怪物はまだ見つからず山びらき
裸婦像の眼がまなざしに灼けてゐる
とうがひのまるみを隠す日傘かな
伝言がおぼへられない青葉闇
うつせみや片手でつかむ白いうで
接吻はなにを境のしううかな
あと何年あなたの髪を洗ひつつ
誘蛾燈たれがわたしをかどはかす
アカシアの花の下なる水平線
睡蓮や白き螺旋の貝化石
手花火に愛着という花言葉
河川みな大動脈や鶴渡る
ペンパルの点字ひと撫で返り花
どこまでを前世と言うか雪兎
たまごから宇宙が生まれ百千鳥
ネモフィラの丘や三つ子のベビーカー
愛情はいつも消耗マーガレット
死ぬまでは生きるほかなしソーダ水
海市立つ少年合唱団その後
啓蟄のルビは私のせいじゃない
囀りの朝の五時から声元気
碧落を登る雲雀を忘れていい
青田風旅行で買った文庫本
白昼夢のように横切る揚羽蝶
夕陽すらチークに使い山粧う
墓じまいできぬエジプト秋彼岸
吹き寄せや日帰り旅行だけの人
古本に鉛筆の線蚯蚓鳴く
言葉以前は夜雨の永久に鎌を打つ
滑走するベッドの飛燕めく暗さ
龍天に登りて嬰のように啼く
剖かれて馬の黒柱や旱星
遥かなる断崖であり蛇の衣
地に灼けし熊の顎骨フォレスター
LAWSONの光の及ぶ川施餓鬼
まるめろや鳥頭人身ロングブーツ
われ在りと思うゆえ割れ寒卵
蝶幾万凍てて河口へつらなるや
仏の座人ははらわたから腐る
それぞれの地獄のいろのしゃぼん玉
蜜豆を残すやつとは付き合えない
向日葵がご都合主義のように揺れ
正義とか塩素まみれのプールとか
流れ星店長が消えますように
無花果や人形の眼の嵌め殺し
冬の月エレベーターの止まる階
狐火を目で追っている捨子かな
うっとりと首絞められるクリスマス
夏というデマ 百人に百人の
言っちゃえばポカリのCMなのでした
HIKAKIN邸までヨットを使う
LSDでより甲子園は面白く
サイバーエージェントのインターンじゃねぇんだから
千円札にシールを貼ったとて無力
フィジカルで病を気へと帰らせて
耳にKISS 車上荒らしは荒らし飽く
アメリカへの鯖の空輸を見守ろう
お前はもうダリアの気持ちが分からない......
目白の屍指して内覧始まりぬ
免震の繋ぎ目跨ぐ義経忌
短夜のビルとビルの間美女の行く
夏雲や空欄狭き問の一
はんざきの平らな時を抜け出しぬ
祝祭の明るさに似てジギタリス
夏雨を弾く銀傘あと一人
揚羽蝶≒揚羽蝶
信号を渡れぬ金魚向きを変ふ
照り返す海の硬きを掻き進む
しりとりのりから始める君が夏
つばめ撮る通勤電車通過中
宇宙より転校生と来る蛍
ルーレットごと紫陽花の咲き誇り
林檎買ふついでに緊急避妊薬
栗剥いてプロポーズをしてみたら
蘭をある保健室に逃げ込んで
デンマーク国家に捧ぐミモザかな
成金と言われ夜の秋もまた
たおやかに死す花菖蒲と君は
家族写。真概念に溶け青の病床。
進まず。に。見え田の車。青鷺が降る
朝Bがはじまり丘は青がくらがる。
幸福な初。夏の風邪ひ。く死体の。青。
虫の性欲。フイルムに青がさ。き立つ
ヨンと青犬に健。康な忘却だ
雲な。くも。月でみ。づらく。ベガの青。
白い。空青。い黄土とならべつつ
コーラにペ。プシ連続す。る青の視力。
ビデオカメ。ラに。噴水青くておとない
丁寧に髪まっすぐに夏の朝
人参の花のどうにもうらやましい
夏の湖に水位は弄ばれる
からだじゅう手花火の発光直前
口紅を塗って視線は滴って
脳に散らばり絡みつく熱帯魚の鰭
ラメのついた頬で噴水を見に行く
背骨撫でられて恋はあんずの色
夕凪や輪郭のあかが濃くなる
胸の森に永遠の一匹の蝉
水差しにたっぷりのみづ時鳥
葉桜のジャングルジムを飛び降りる
夏夕べ花瓶は花を任されて
眼の合えばわらう線香花火かな
蜘蛛の死の軽軽とある非常灯
あさぐもり鋏はいつも実行犯
梅雨がトラックにぶん殴られている
此度の謝罪に適うゼリーがない
陰口も愚痴もおんなじラムネ玉
籠枕して正解を待っている
花ミモザ土偶抱きしめると痛い
広告の流れつづける蝌蚪の国
トルソーおはようトルソー抱卵季がきたよ
水道水好きだし落ちたゼリー洗う
これ日焼するよなあ消えようかなあ
蓑虫眠る骨までやわらかい料理
見つけずにいよう胡桃の鍵穴は
角が欲しい冬用のもこもこの角
日脚伸びきって電線あふれていた
ねこやなぎ微妙にちがう、けど正解
飛行機がビルに中りし空もあり
たひらかにふくらんでゐる海月かな
薔薇を挿したる霊銘の深さかな
階段の蛾の腹に灯のありあまり
テロリストに普通の顔や普通の夏
胸郭を侵す飛行機九・一一
階段は熔ければ斜面九・一一
穏健な冷房に覚む展示室
O型が足りないといふ夕焼かな
グラウンド・ゼロ噴水は無尽なり
雪の骨おとうさんとけてしまったの
幼子のなずなの腕がちぎれそう
落椿踏まれるたびに蕩けちゃう
その声にこたえちゃいけない蓮の沼
ラムネ玉ほしがる指が瓶に這う
八月のごっこ遊びが終わらない
踊らされるこどもがいない運動会
何本かバナナ剥いたら変声期
秋の服持ってないから遊べない
冬の蜂すなおになってからながい
雪解川日本ぷかぷかしてゐたり
桜蕊降る贋作を家宝とす
夜の色いつも宇宙のヒヤシンス
風鈴が舌を伸ばして挑発す
ごきぶりを吸つて掃除機がごきぶり
数学者予想だけして勝手に死ぬ
あなたを悪にしない小鳥が飛び立つよ
墓開くや小さき氷柱を崩しつつ
職歴のそこは鯨の介護など
春の黴やうやう芽吹く塀の穴
五月雨や鳥になるなら葉の色に
夏山や羽ばたく鳥の胸飾り
菖蒲湯や筋肉はいまただの肉
眼鏡チエーンしやらら青梅煮詰めけり
冷房や雲めく泡の抹茶ラテ
青林檎へ傾く十代の詩集
草むしる隣の人の名も知らず
Uberのリユツク日陰を縫ひ進む
万緑や交互に足を前へ攻む
自分だと思つて西瓜割つちやえば
本棚のハンドルかたくなく薄暑
かき氷プラスチックの椅子を引き
あめんぼの飛びたつ脚のかまへかな
風船と弱冷房車まで歩く
打上花火聴くにはちやうどよき職場
つかはれぬままの食堂なつみかん
鳴りつづく液化酸素や明易し
さみだるる精神病棟の塑像
げじげじのひとげじ抜けてゐたりけり
夜の秋半角の数字を愛す
マイナビの動画を見ては桜漬け
初蝶を持て余してた二回生
桜まじゆいちゃんは起業するみたい
業態と菜飯の区別つけなくちゃ
エントリー数の子制すシート消す
Its mine 白き日曜囲い込め
沈丁花キラキラネームの自覚ある?
【ほしいもの】OB・OG・みどりの日
ガクチカをみせつけちゃるわ春の蝿
うつしよは一抜け二抜けチューリップ
春光やチューバを抱へくる奏者
しやぼん玉しばらく風に遊ばれて
海外の香水甘き電車かな
ハンモックの中に漫画の次の巻
近づいてゆく捕虫網しづかなり
休暇明け眼鏡が一人増へてをり
金髪と白髪のゐる夜学校
ノックして夜食入つて来たりけり
ぽつぺんが新幹線の中に鳴る
白鳩の出て来さうなる冬帽子
踊りませんか梅雨うはむきに珊瑚が手
瓜の花母役ほつれきつたるよ
拭はれて嬉しき汗と目でわかる
蟻の餌はぼくに酸つぱい神隠し
道化師の眼とはこんとん泉湧く
マザコンの殴つて来ない夏休
噴水やくちびるに舌阻まれて
浮輪これから薬指ごと萎む
盗るは正しく鳥の死に目に剥く桃よ
にんげんを傘で掻き出す原爆忌
誰彼かまはずななふしを見せてをり
朝顔の実を割り殻のすぐ吹かる
保育園のカーテンの黄や島の冬
土練機に土の従順開戦日
雲ちぎれ鯨はいつまでも裸眼
よなぐもり汽水は泡をよく残し
塗り替へしふらここに風引つかかる
新聞屋の金魚生きやうとはしてゐる
梅雨入の天使ゆるりと鉢を負ふ
手花火す今宵作家の眼は使はで
花へカメラ風止むときを窺つて
振り上げる両の腕より花筵
鳥の巣のだんだん厚くほどけない
頬張つて苺の爪楊枝があかい
足の指広げてサンダルの自慢
ポスト冷え封筒といふ舟を抱く
二人して笑ひ転げてめつちや月
土産屋の奥にまた奥すずろ寒
ふるへればカイロを投げてくれるひと
カルビ来てあかるい雪の焼肉屋
遠足や鏡があれば皆で見て
スプーンをごつそり掴み鳥の恋
樺の花さつきもすれ違つた人
円柱の水が立夏の蛇口より
かき氷に伝票立てをずらしけり
揺れながら鳴らざる鈴の五月かな
打水のひとすぢ蟻を追ひ越しぬ
青葉木菟手紙の誤字のうつくしく
みひらけば数式となる夏の霧
浴室に硬貨をひろふ旱かな
福引きの赤い袋のどれに靴
なぞなぞのぜんぶひらがなひなまつり
水温む絵の具に髪のための黒
若葉風大道芸の揺れて立つ
ぷこここと水鉄砲を充填す
蟻が帰つて退屈に襲はるる
干し柿を呉るる掃除をして呉るる
マネキンの首の切れ目にマフラーを
寒稽古眼鏡のままに死を迎ふ
氷柱投げ続けいづれは槍となる
風光るLOOPで原爆ドームまで
閃きにおくれてこゑの薄暑かな
私とふ原子のつどひ聖母月
レモネード博士進学諦めて
STOPWAR編み込まれてゐるレースなり
鴨の子は世界を頼るやうに寝る
就活を終へてリフトや脚にも薫風
八朔ゼリーどつちにしろ未来はある
脳みそは孤独な臓器髪洗ふ
解読を待つ文字ねむる旱星
春重し乳を零したような空
春の宵乳房は水に浮くらしい
傍聴に乳房のかたちの春セーター
黙ってゼリー食っている豊胸の女
ハンカチの乳色が血を吸っている
ロボットの胸部に螺子や九月尽
ゲルニカに尖った乳首秋暑し
冬晴に牛乳の膜破れ易い
冬の朝乳房他より少し暖
人信じずにいて乳粥をまぜる
野遊やミニスカートを先頭に
春の夜の四割引の鰹かな
朧月枯山水を泳ぐ蛇
郵袋に囀り満ちる夜明けかな
みどりの日寝湯よりちんぽ浮いてきし
お互ひに絡みつき合ふ鯉のぼり
豆飯や父を呼ぶ声隣家より
薄れたる地蔵の顔や緑さす
白あやめボールは点となりにけり
ポロシャツや引きずられゆく犬もゐて
花片や担架の上のあをき空
オペ室の廊下を鱵の行列
短夜の酸素吸入に過呼吸
点滴台苺ミルクに持ち替へて
車椅子に枝をくわへて小鳥来る
副作用体重増加白式部
看護師の走るリノリウムや夜寒
泣くことのマスクをしてもわかるひと
晦日蕎麦箸にほぐるる命かな
風花をプレパラートより見てゐる
血縁は無くて子猫の父となり
桜蕊降る頃思い出す手紙
フリージア埋めて母の死化粧
ハンカチを貰ひてこれは火葬まで
古民家や向日葵枯れてゆく話
過ぎてゐし余命宣告花は葉に
戦闘機去ってすすきが立っている
無月の夜やや短針のズレがあり
風花やきつとあなたも生きている
さよならの速さで海に雪降れり
ひおもてへ水鉄砲の水迅し
くろあげはくらぐら影の翔けもどる
玉砂利をゆくサンダルの五指つかひ
泳ぐ手がわれにさきだつ午後刻々
散光や芍薬叫びながら落つ
草束を虹の日和へながしけり
菖蒲湯や膝しづめれば寄る根茎
風鈴の空よりずかずかと夕闇
冷蔵庫ひらけば灯るあをみどり
あからみし蛍の籠を山の雨
血に滑るガラスの靴やなほ履かん
声は鞭羊渡らせ雪解川
禁教の鐘撞きて以後音や我
威嚇の兵は木彫り人形ただ跨ぐ
酔眼にみちのくの木々歩み出す
泥酔の体受け止め夜桜めく
脱がせればタトゥーのようにバーコード
鯨解体す人のみを転かす時化
雪の夜音叉は音叉より生まれ
弾初の弦を磨くや少し鳴る
春めくやボンレスハムの糸を切る
栄螺にゆるりんふと産道の記憶かな
鳥帰る半端に余るグラノーラ
メレンゲに凛と角立つ聖五月
割烹着借り蕗を剥く輪の中へ
蝿を除け右手で喰らふ豆カレー
落鮎を湯灌の如く洗ひけり
樹木葬にしてね柚子味噌作つてね
トースターの灯やさしき霜夜かな
開戦日べつとりと塗るレバーパテ
一瞬の指紋認証しゃぼん玉
亀鳴くと嘯く人の歯の白さ
路線図の色は決められ梅雨曇
プールより上ぐ両腕の重さかな
窓枠に肘のはみ出す夏の果
砂のつく踵を浮かし遠花火
鰯雲窓の犇めくビル光る
秋の夜や人ごみまぎれ膝を抱く
マフラーを外し余熱のありにけり
野良猫のタペタムの奥冴ゆる月
前向きに迂回している春の巴里
冷索麺髭になり子は龍になる
炎帝を見て自殺する虫眼鏡
秘密から仙人掌の花咲いてくる
天敵に包囲され芋虫肥る
勝っている眠気負けたる相撲かな
父となり運動会に復帰する
天狼を滴り落ちる揉み烏帽子
兜見てサンタさんだと子は言へり
臆病なわが身の鬼に豆を打つ
風船を手渡した手に浮力まだ
初虹の平熱になる速度かな
春夜を歌ふくちびるに紙ふぶき
挽歌いま浜昼顔の中に聴く
蛇苺やりなほしたいゲノムから
かたつぶりネバーランドの地図のうへ
夏草をロボットの来て止まりけり
瞳孔を開く目薬はたた神
髪洗ふ胎児の記憶剥ぐやうに
嘘がほんたう夕焼の出生数
123. 水鉄砲
快晴や割氷にきゅうり屹立す炎帝のジャブ・アッパーに身がよじれ氷水BMWって言いにくい夏みかんたっぷり剥いておく孤独アイシャドウ凝りたる青を使い夏臓腑みな撃ち抜かれおり水鉄砲生卵まぜてカレーの夏来たり夏の山鳥入っては出てゆけり遠雷の下の木燃えつ山燃えつ万の星押しつぶさるる流さるる
快晴や割氷にきゅうり屹立す
炎帝のジャブ・アッパーに身がよじれ
氷水BMWって言いにくい
夏みかんたっぷり剥いておく孤独
アイシャドウ凝りたる青を使い夏
臓腑みな撃ち抜かれおり水鉄砲
生卵まぜてカレーの夏来たり
夏の山鳥入っては出てゆけり
遠雷の下の木燃えつ山燃えつ
万の星押しつぶさるる流さるる
124. ゾンビめく
行く春や研究何も進んでない
鞦韆よいつか爆発した星よ
目借り時……今日くらいは……めかりどき……
甘茶飲む和尚の愚痴はお経めく
更衣十二単は肩が凝る
旧友の生存報告ライラック
空き校舎こっそり入る巣立鳥
彗星を案山子と一緒に見に行こう
メールから逃げ逃げ逃げて富士登山
夏行きて大学院生ゾンビめく
初午に禰宜のあたふたとしている
紙コップふやけるまでを花見かな
街コンや奥歯で潰すさくらんぼ
おれはいま買われたのだと金魚およぐ
仏壇の前に水羊羹山づみ
干し芋や母の不倫を見逃しぬ
都電消えまたひとつ消え鏡花の忌
神の旅立つときいつもちょっと不安
吐瀉物も凍る季節となりました
空港へどれもどこまでも裸木
夜の麦六等星を引き寄せる
兄の年数えて食べる麦飯は
卒業や何度も温い唾を飲む
鈍感はしなやかな事遅桜
使わないピアノの上へ白マスク
春雷やボタンの違う病衣着る
はだれ雪そっと吸い込む産湯の香
ででむしや知能検査の折れグラフ
土匂う錫婚式は三合目
麦動く地球が脈を打つ速さ
鉄橋を仰げばそこに山桜
つぶさなる地蔵のひとみ山ざくら
信号にかぶさり垂れし山ざくら
竹林にかくれてしまふ桜狩
花冷やラーメン店の匂ひして
養花天暖色灯の喫茶店
ゆきやなぎ木組のやうな瓦屋根
句帳いま最後の頁花をしむ
花衣締め付けのまだ残りたる
珈琲の苦みのきつし花疲
春昼の鳩の避けたる池のうへ
ぶるぶるとして濁る湯や聖五月
鯉幟揚げし端より孕みをり
葉桜や気球古墳へ傾きぬ
牌山を崩さぬやうに蚊を潰す
夏果てや茎ごと揺るる固き花
この飛蝗軽金属でできてゐる
鶏頭は預金残高知つてゐる
春を待つ放蝶園の二重ドア
虫食ひもそのまま燃ゆる落葉焚
骨格がくしゃみしそうなチューリップ
雄しべとか雌しべだとかは気にもせず
プリキュアになれないなりたいなReない
扇風機首振るだけの自己嫌悪
人間に疲れて海月透き通り
パピコ折る君の半分溶けかかる?
夕立や世界が一度ログアウト
歩く歩くただひたすらに鰯雲
蟷螂の死骸を避けるベビーカー
ぬいぐるみ解体新書冬銀河
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